妻は長野の出身です。
毎年、季節の変わり目になると実家から野菜が届きます。 段ボールを開けると、土の匂いがふわっと広がる。 大阪にいながら、長野の朝の畑にいるような気持ちになる瞬間が、 私はとても好きです。
「長野の野菜は、味が違う。」
最初に食べたとき、そう思いました。
標高と寒暖差が育てるもの
長野県は標高が高く、昼と夜の気温差が大きい土地です。 植物はその環境に適応しようと、糖分や栄養をぎゅっと凝縮させながら育ちます。 だから、野菜の甘みが強い。色が鮮やかで、香りが立つ。
特に夏のズッキーニと、秋から冬にかけてのキャベツ類は格別です。 ズッキーニはみずみずしくて歯ごたえがあり、クリームパスタに入れると ソースを吸いながらも自分の風味を主張してくれます。 キャベツは甘みが強く、さっと炒めるだけで十分なおいしさになる。
今年の夏に届いたズッキーニ。色の濃さが違います。
料理に素直に向き合えるということ
いい素材が手元にあると、余計なことをしなくていい、と気づかされます。 複雑なソースで隠す必要がなく、シンプルに素材の声を聞けばいい。 塩をして、火を入れて、パスタと絡める。それだけで、十分においしくなる。
鼓腹劇場のパスタが「ソースは濃くないのに、なんかうまい」と 言っていただけることがあります。 その秘密のひとつは、長野の野菜にあると思っています。
これからも、長野から。
妻の実家から届く野菜は、季節によって顔を変えます。 春には春キャベツや菜の花、夏にはズッキーニやトマト、 秋には根菜類、冬には長ねぎや白菜。 それがそのまま、鼓腹劇場の「今月の期間限定パスタ」の骨格になっています。
メニューが変わるたびに「今月は何を使うの?」と妻に聞くのが、 今では私の楽しみになっています。 次の季節に届く野菜は、何だろう。